真典セクサリス特設サイト少女病ラストアルバム、一般販売開始まであと1週間ですね!
先週まであんまり実感がなかったんですが、特設サイトのカッコイイセクサリス様を眺めたり、
小説版を読んだり、過去作を聴き返したりしてるうちにだんだん気持ちが盛り上がり
完結作が気になりすぎて頭がグルグルしてきたので、ここにいったん吐き出しておきます。
最初はちょっとした情報整理のつもりだったんですが、
このタイミングでコロナの濃厚接触者になってしまい、自宅待機で時間ができてしまったため、
なんかたくさん書きました。
予想めいたこともけっこう書いてますが、半分以上願望みたいなもので当てる気はないです。
まあこういう楽しみ方って作品が頒布されて未来が確定しちゃうとできないことなので、
今のうちに好き放題書いておこうかなと。
なんせ10年以上追いかけたシリーズですからね。擦れるだけ擦ってやるぞ!
◆第5の魔女についてかれこれ10年くらい引っ張ってた第5の魔女の正体ですが、発売前情報で概ね推測できますね。
・ジャケ絵のセクサリスの眼の色が変わっている
・CF特典ジャケットイラスト(If世界 5魔女のお茶会)にセクサリスがいる
この2点からまあセクサリスなんだろうなと。眼の色については最初ピンと来なかったんですが、
小説版に眼の色彩で魔女を判別するシーンがあってああ~ってなりました。
第5の魔女の正体については私はけっこう前からアナスタシアだと思ってたので、
セクサリスは完全に予想外でした。むしろ真っ先に候補から外したくらいです。
セクサリスを候補から外した理由はいくつかあるのですが、最大の理由は次の2点
・魔女は「神に見出され、人から成りし存在」であること。
・セクサリスは観測者ポジションであり、他の登場人物とは存在するレイヤーが違うこと。「遥か昔に滅びた星々の記憶が少女の形をとった存在」という設定であるため人ではないし、
魔女となって物語に直接干渉するのは観測者たる彼女の役割ではない。
セクサリスが魔女になってしまうと設定や物語が破綻しそうだから候補から外したんです。
このような否定材料がありながら、それでもなお物語はセクサリスを第5の魔女に据えた。
これは何を意味するのでしょう?
◆セクサリスについてそもそもセクサリスってどういうキャラなんでしょうか。
双葉リボンのビジュアルとか、「世界の記憶そのもの」って設定は周知されていると思いますが、
性格や目的など、設定以外のことは私はあまり意識したことなかったんですよね。
ただ今回セクサリスがかなり重要なポジションになるっぽいので、
改めて彼女の、特に性格や動機、目的を示す描写についておさらいしておきます。
まず、『偽典セクサリス』の「星謡の詩人」の歌詞より。
絶望も希望も 何も知らずあらかじめ喪い 透き通った存在仮象の魂 内なる声 自己を確立するための記憶 巡って 夢を見る 「全ての断片が揃ったらこの喪失感も消える?」
以上の描写で重要なのは、
セクサリスは変化(あるいは成長)する存在であるということです。
はじめは滅びた星々の記憶に由来する「喪失感」だけを持った「透き通った存在」ですが、
夢を巡る(物語の欠片を集める)ことで、自己を確立する(成長する)ことができる。
そして全ての物語の欠片を集めれば、もともと持っていた「喪失感」を手放すことができる。
「喪失感」を手放すということは「滅びた星々の記憶」を手放すとも考えられないでしょうか。
そして「滅びた星々の記憶」を手放せば、残るのは物語の欠片を集めて、自己を確立させた
「セクサリス」という人の形をしたキャラクターだけ。
つまり、少女病の物語には、
セクサリスちゃん育成ゲームみたいな側面があるのでは?
「いろんな物語を与えて、キミだけのセクサリスちゃんを育成して喪失感から解放させてあげよう!」
みたいな。
そう考えると、セクサリスの変化を追っていくのが完結作のヒントになると思うんですよ。
というわけで、次行ってみましょう。
『残響レギオン』初回特典の小冊子「セクサリスの見た風景」より。
「あーあ。どうせセカイは終わるのに……」「無様な道化が群れをなすよ。みんな、笑うフリだけでもしてあげて。ふふっ」「どんな言葉の羅列にも心動くことなんてないけれど。その光景は少しだけ――」「私は全てを見届けるわ、フランチェスカ。ふふっ、私の姿を捉えられたのなら、
いつか交わることもあるでしょう。けれどそれはまた、別のおはなし――」
ずいぶんと感情豊かになったなあセクサリス様!「どうせセカイは終わる」という終末思想は、彼女の持つ「喪失感」に由来するものでしょうが……
性格の悪さとか冷笑的な態度は
だいたい少女病のせいだと思う。
あんなろくでもない話ばっかり見せられたらそりゃ歪みますよ。仙水忍みたいなもんです。
また、フランチェスカに対する同情とか、感傷のようなものも窺えますね。
この時のセクサリスには、喪失感だけでない、人間的な感情が芽生えていることが分かります。
あとは「全てを見届ける」と言っているように、この時点での彼女はあくまで観測者ポジを崩さず、
フランチェスカに姿を捉えられたくらいで、物語の登場人物にはまったく干渉していません。
そして最後。小説版『天巡メルクマール』より。
「あなたは、どうするつもり。己の運命。それを目の前にして」
「帰りなさい、あなたの父の元へ」
「……そう、そうなの。そうよね……止めようがないのよね」
なんとセクサリスが人間と会話をしています。しかも、破滅的な運命に足を踏み入れようとするその人間に忠告をし、
運命が変わらなかったことに落胆する様子まで見せています。
小説版の本筋のストーリーとはあまり関係がないこのシーンですが、
本筋と関係がないからこそ、重要な伏線だと思うんですよね。じゃなきゃ書く意味がない。
観測者ポジに徹していたセクサリスが、物語の登場人物に干渉し、
あまつさえ運命を変えようと行動している。
ここでの心境の変化が、セクサリスが第5の魔女になることに繋がるのではないかと。
私はそう考えています。
なお、小説版メルクマールは『残響レギオン』よりも過去の話ですが、
セクサリスは物語を時系列ではなく少女病作品のリリース順に見ていると私は踏んでいるので、
セクサリス視点ではこの話は残響レギオンよりも後であると考えています。
◆再び第5の魔女についてここで、セクサリスが魔女になる展開のネックと感じていた設定をもう一度見てみましょう。
・魔女は「神に見出され、人から成りし存在」であること。
・セクサリスは観測者ポジションであり、他の登場人物とは存在するレイヤーが違うこと。この2点、さっきの内容を踏まえると「なんかいけるんじゃね?」って気がしてくるんですよ。
「人から成りし存在」という点については、セクサリスが人の形をしていること、
作品が進むにつれて、「人間」に接近してきていることからクリアできそうですし、
「観測者ポジション」についても、小説版の描写からセクサリス自身が物語に干渉する意思を
見せているので、魔女になる=物語の登場人物になることにも違和感はなくなります。
セクサリスの設定を丁寧に紐解くと、第5の魔女になるのもありえる展開だと
納得させてくれるのは面白いですね。
ただ、一点だけ引っかかるところがあります。
それは「
魔女は自分の意思とは関係なく、神に見出されることによって成るものである」ということ。
つまり、セクサリスを魔女に見出す「神」なる何者かが存在するということであり、
「神」とは何者なのか?という謎を避けては通れないということなのです。
◆神についてというわけで既存情報から「神」の正体を考えてみるんですが、正直なところね、既存キャラの中で
セクサリスを魔女にできるような「神」の役割をこなせる人物なんて一人しか残ってないんですよ。
そう、
ミルリーナです。
ミルリーナは『偽典セクサリス』の「星謡の詩人」の名前が出てくるキャラで、
「星謡の詩人」と「セクサリス」の歌詞ではこのように描写されています。
少女の夢から 記憶を詠みあげ 静かに紡いで 識る星音
時と時の狭間 彼方詠うのは 詩人ミルリーナ記憶から描き出していきたいんだ 夜の来ないこの場所でゆっくりと 欠片集めて……紡ぎ手は詠い 夢を語る 再生のための終わりを
セクサリスの夢(記憶)を紡いで物語として出力しているのはミルリーナということでしょう。
物語とは「少女病の楽曲群」のことです。
小説版メルクマールにミルリーナ詩編「黒紫の影」として「黒紫のオーンブレ」の歌詞が
そのまま引用されているので、この点は間違いないでしょう。
ミルリーナに関しては描写が非常に少なく、情報がほとんどないので
私もさほど重要視してなかったんですが、小説版メルクマールにおける
セクサリスの台詞を見ると、ちょっと無視できない存在なんですよね。
「……リーナ。」
「ええ…あ……た………でしょ……」
「――…う、リーナ……が、だい……の。――その力は……生。きっと……ええ、わかって……れど、どうせ……わるのに……」
これはセクサリスが壁に向かって「リーナ」と呼ぶ見えない何かと会話しているシーン。
作中には「イリーナ」という人物もいますが、イリーナがセクサリスと会話するのは流れ的に変なので、
ここの「リーナ」はミルリーナの愛称なのではないか?と推測できます。
会話の内容についてはあまりにも伏字が多いのでよくわかりませんが、
最後の「わかって……れど、どうせ……わるのに……」は、
「わかっているけれど、どうせ世界は終わるのに」でしょうね。
「……生」は「再生」かな?
で、このシーンの直後に、さきほどの「人間に忠告するシーン」が来ることを踏まえると、
「セクサリスは世界が終わるという結末は決まっているから人間に干渉したって意味ないと
思っているが、ミルリーナにけしかけられて仕方なく忠告してみた」
という流れなのかな?という想像もできます。
そしてセクサリスが物語へ干渉することをミルリーナが望んでいるすれば、
ミルリーナにはセクサリスに魔女の力を与える動機があるってことです。
セクサリス様に魔女になって無双してほしい!というミルリーナの願望が
彼女を第5の魔女にさせた……とかどうでしょう。
ミルリーナは物語の作者というか、セクサリスの夢の二次創作者みたいなポジションなので、
「神」がやっていることくらいはできるだろうし、
ちょっとくらい自分好みに改変してもええやろ?と悪ノリしちゃうこともあるんじゃないでしょうか。
なお、魔女は「それぞれ異なる神に見出される」という設定があるので、
他の魔女には他の神がいるわけですが、「星謡の詩人」=「神」であるならば、
ミルリーナ以外にも「詩人」が存在していると仮定すれば一応説明はつきます。
それぞれ詩人の推しキャラ=魔女とか……まあさすがに強引かな?
◆結末について少女病作品って、たぶん『偽典セクサリス』の時点で物語の結末は決まってたと思うんですよ。
「セクサリス」に次のような歌詞があります。
「夢から覚めるとき この世の果てにある ここからあたらしい 世界が生まれ 終わりの先へ繋がる」「ここからまたいつの日か、世界ははじまっていくのだろう。少女の見る夢から再生される、新たな星」
『その世界の名は、セクサリス』
「今はまだ、永い夢の中に眠って……」
『真典セクサリス』のラストトラックが「genesis(創世)」なので、
セクサリスが夢から覚めて、新たな世界が作られるのが結末なんでしょう。
『偽典』とは、セクサリスの夢の世界のこと。
『真典』とは、目覚めた後の新たな世界「セクサリス」のこと、とか。
ジャケ絵にもそれを示唆するデザインがいくつかあります。
【一般販売版ジャケ】
・『偽典セクサリス』と『真典セクサリス』のロゴデザイン 真典のロゴは偽典によく似てますが、開いた本から羽が飛び出すモチーフが追加されています。
開いた本=旧世界、羽=新世界 でしょうか。
・散らばる本のページと蝶 これもロゴと同じで、散らばる本=旧世界の終わり、蝶=羽化のイメージ、新世界への旅立ち、
「胡蝶の夢」のイメージもあるのかも?
・満ちる月 物語の欠片が集まり、ひとつの星(新たな世界)ができるイメージ?
・背景の枯れた木 これは同じものが『蒼白シスフェリア』のパッケージ裏に描かれています。
そこにもセクサリスがいることから、ここはセクサリスがいる場所……終末の風景なのかも。
【メロンブックス版ジャケ】
・背景の木 よく見ると、一般販売版ジャケに書いてある枯れた木と同じような形をしているような。
ここが新しい世界におけるセクサリスの居場所なんでしょうか。
・黒髪の女性 今までのジャケ絵等には出ていなかったキャラなので、これがミルリーナなんでしょうか。
なんか赤子みたいなのを抱いていますが……これミルリーナの願望なんじゃね?
この世界を手繰り寄せるために今までせっせと物語を作ってたんだとしたら、
クレイジーな百合っ子が沢山出てきた少女病の中で、最後にとんでもない大物が出てきたことに!
◆その他・まとめなど気づけばめちゃくちゃ長くなってしまったのでこのへんにしておきます。
他にも気になることメッチャあるんですけどね。
アナスタシアや魔女たちの末路とか、セクサリスの出自とか、ルクセイン君は活躍できるのかとか。
あと、先行公開されている「existence」の歌詞は実に少女病らしい迂遠さがあり、
分かるようで分からない絶妙なバランスになっているのがいいですね。
「崩落のcharade」「品種改良されたFAKE」
「世界仮説偽証」「世界記憶が暗示するように巣食う病理」……
なんとなく「嘘」がフォーカスされているような印象があり、また「星謡の詩人」のフレーズが
引用されていることから、『偽典』と絡めて既存情報を覆す何かが出てくるような気もします。
積み重ねてきたものを豪快に崩すのは少女病の得意技ですからね~。
「existence」は曲も実に少女病らしくて、何回も聞いてしまいますね。
今回はRD-soundsさんが全曲担当しているので複雑かつ長尺の曲が
ズラっと並ぶ気がします。ピクセルビーさんが参加していないのは少し寂しいですが、
コンセプトアルバムを作ることにかけてはRD-soundsさんは折り紙付きですからね~。
物語もそうですが、楽曲面でもとても楽しみです。
それにしても……本当に終わってしまうんですよねえ。
終わらせてくれるのは嬉しいですが、終わってしまうのはやはり寂しいもので。
ただね、音楽というのは一度聴いたら終わりじゃありませんから。
聴き返せば何度でも出会え、蘇るのが音楽の魅力です。
あと1週間、それから先もずっと。
物語音楽のファンとして、少女病のファンとして全力で楽しんでいこうと思います。