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[考察・感想] --深淵へ至る閉じた瞳へ至る深淵-- / Ma-Hi-Te

--深淵へ至る閉じた瞳へ至る深淵--
(2011/10)
Ma-Hi-Te

公式サイト

こいしをテーマにした作品は最近よく見かけますが、その中でも「古明地こいし」
というキャラクターについてもっとも深く切り込んで描いている作品だと思います。
ダブルスポイラーにて「胎児の夢」という弾幕が登場して以来、こいしにまつわる
二次創作の有り様は大きく変容しており、「ドグラ・マグラ」なんかも引き合いに
出しつつ、彼女の閉じた瞳の奥に広がる世界を描き出そうとする作品が増えてきました。
「無意識」 とは確かに捉えづらい概念です。しかしだからこそ、想像のしがいがある。
今作もまた、彼女の瞳の奥の世界について・・・無意識について描かれた作品でしょう。

アルバムタイトルや曲の並び、選曲を見れば分かるとおり、今作は円環、ないしは
螺旋状の構造をしています。内容を見ても、1曲目の「--」と5曲目の「へ至る」の
ラスト30秒が全く同じ展開になっているなど、繰り返しやループが示唆されています。
こうした構造は、「無意識の遺伝子」など螺旋のモチーフがこいしに備わっている
こともありますが、「彷徨」の表現のため、というのが要因としては一番かと思います。
誰にも心を悟られず、どこかへふらふらと遊びに出かけてはいつの間にか戻ってくるこいし。
彼女は自由。しかし彼女はどこへも向かうことはないし、どこにも辿り着くことはない。
目的もなく彷徨うこいしの無意識は、構造ばかりでなくアレンジにも反映されています。
繰り返される無間の鐘とハルトマン、複雑な変拍子、次々と音色の変わるオーケストラ・・・
この作品は「古明地こいし」そのものです。無理に彼女を解釈して歪めるのではなく、
鏡のように写し取ってそのまま音に反映させたような、そんな作品です。

そして今作はただループを描いただけの作品でもありません。螺旋を抜けるための
光明までも見据えています。ヒントとなるのは5曲目の「へ至る」の、中盤から唐突に
挟まれる「ハートフェルトファンシー」のメロディでしょう。無間の鐘とハルトマンだけで
構成される今作にとって、このメロディは明かな異物です。これをどう捉えるか。
結論から言えば、これはたぶん外部干渉です。こいしが外部から受けた影響が、
彼女の閉じた瞳の世界にもそのまま反映された、と。では外部とは何か?
そういえば、東方地霊殿のキャラ設定.txtにはこんな記述がありました。

さとりはそんなこいしを不憫に思い、最近ペットにこいしと遊ぶ
ようにと命令し、何匹か専属のペットを与えた。
ペットを飼う事で少しずつ目的が生まれ、他の人の心を受け入れ
る事も出来る様になると考えていた。
少しずつだが、ペットを飼い始めてからこいしも変わってきた様
だった。


どうでしょうか。外部干渉とは何か、何故ハートフェルトファンシーが流れるのか、
その答えがそのまま書かれてるように思えませんか?この記述は地霊殿が
始まる前のお話で、この出来事をきっかけに彼女は変わり始めます。
さきほど1曲目と5曲目のラストが一致しており、だからループ構造だ、と
書きましたが、実はこの後・・・2曲目の「深淵」と6曲目の「深淵」は、
全く異なる展開をとります。同じ深淵でも、異なる深淵。確かに彼女は
複雑な螺旋の中にいるけれど、外部と交わることで少しずつだが確実に
成長することができる・・・そんな願いがこのアレンジには込められているのでは
ないでしょうか。

そしてその後、地霊殿本編の騒動があり、こいしにとって大きな転機が訪れます。
彼女は山の上の神社を「目指す」。彷徨うだけだった彼女が、明確に目的を持って
行動するのです。瞳を閉ざした後のこいしの初めての冒険は、この作品においても
表現されています。それがたぶん、7曲目「--」の3分10秒過ぎからの展開。
ここでは、無間の鐘でもハルトマンの妖怪少女でもハートフェルトファンシーでもない、
オリジナルのメロディが堂々としたオーケストラの響きをもって奏でられます。
これは光明。無意識に支配された彼女のココロに「自意識」が芽生えた瞬間です。

そう思った時、こいしの第三の瞼が少し柔らかくなるのを感じた。

キャラ設定.txtのこいしの項目はこのような文章で閉じられています。
ゲームで語られるのはここまで。公式の場において、今後彼女の瞳が開かれることは
ないでしょう。そしてこの作品もまた、鐘の音とともにゆっくりとフェードアウトしながら
幕を閉じ、1曲目へとループする。この作品は、最後の最後まで
「古明地こいし」そのものであることを貫いています。螺旋は続く。
光明こそ見えたが、彼女の瞳は閉ざされたまま。
しかし、種は蒔かれました。
咲き誇るサブタレイニアンローズを描くことが出来るのは、きっと・・・・・・。

・・・・・・・私はここで、ひっそりと水やりでもしています。
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Author:borozo

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