同人音楽の感想みたいなレビューみたいなものを書いてます

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[感想] やしまユニテ / kiichi

やしまユニテ
(2010/11)
kiichi

公式サイト

◆分類
ボーカロイド
エレクトロニカ
ポストロック

kiichiさんの2ndアルバム。
この人はほんと、ボカロコーラスの魔術師だなー、と今作で確信。
前作の「プラスチック・ガール」や「MiktronicaⅡ」にも印象的なコーラスパートが
あったけど、あれらは「感情そのもの」って感じでした。色々な感情が
ごちゃまぜになって、それがラララーという原始的な形で表れている、って感じ。
一方今作では、そんな原始的な感情がいろいろな形に分化して表れてる。
「団地ガール」は倦怠感、「青春の殺人者」は高揚感、みたいな感じで、
ほとんどの曲にコーラスパートがあるけど、表現されてる感情がそれぞれ異なる。
掴みどころのない歌詞とクールな曲調、無機質なボカロ歌唱の中で、
コーラスの部分だけが熱を帯びてて、人間味をおぼえるんです。
こういう、つかず離れずの独特の距離感が今作の魅力だなーと思います。

また今作には「団地」というテーマがあるけど、これも面白い要素。
団地というのは言わば、「退屈な日常」の権化みたいな存在だけど、
kiichiさんの曲に日常があるかと言えば全然そんな気はしません。むしろ異世界的。
日常なのに異世界的。こうした絶妙なズレ加減が実に良い味を出しています。
例えば「エンジェル・ヘイロウ」という曲。
この曲がニコニコ動画で公開されたとき、RPGのボス戦を彷彿とさせる
問答無用のカッコよさにそりゃもう悶絶したもんだけど、
アルバムに収録され「団地」という日常の中に取り込まれた瞬間、
「ドイツ語かぶれの中二病少女」のイメージしか浮かばなくなって
なんとも頭の残念な曲になってしまいました。何という台無し感。
だがそれがいい。この透かされた感じがなんとも心地良いのです。

無機質だけど人間味があって、日常だけど異世界チックで、
不安定だけどどこか安心感があって・・・
捉えどころがなく、人を食ったような何ともシュールな作品だと思います。
間違いなくスルメ盤の類。印象的なコーラスワークに思いを馳せつつ、
じっくり聴いて色々妄想しながら楽しんでます。しあわせ。

◆曲の感想
04-エンジェル・ヘイロウ
もともと自作ゲームの曲を作るために音楽を始めたらしいkiichiさんだけあって、
ゲーム音楽臭ムンムンのこの曲は実にハマってる。ホーンやらストリングスやらを
豪快に使って放り込まれるゴスゴスしたオブリがたまらんです。
サビのドイツ語歌唱もメロディと相まって実にドラマティック。
むしろクサメタラー向き。中二病だしな!

05-2号棟 *
一分程度の繋ぎのインストだけどすげー好きです。
ピョロピョロした幽霊が出てきそうな音がたまらん。

06-青春の殺人者
疾走感のあるポストロック調のサウンドにノリノリのレン君とリンちゃんの歌唱。
「青春の殺人者」ってタイトルが全てを物語ってる。
この曲を聴いてるとコープスパーティーの刻命とかフリッカー式の公彦とか
色々とアレな少年たちの姿が脳裏を駆け巡ります。
アッ アッ アッ アッ アッ アッ アッ アーオゥッッ!

07-ネリーチカ
歌詞はなく、コーラスオンリーのある意味インスト曲。
こういう曲は単体で聴くより、アルバム単位で聴いた時に存在感を発揮するよなあ。
4曲目から6曲目まで、ハイな曲が続くのですごく癒される。浄化される。

08-Butterfly Knife
「青春の殺人者」と対をなす曲・・・かもしれない。
レン君は実はそんなに好きじゃないんだけど、なんかこういう「必死さ」を
感じる歌にはものすごくマッチしてる気がする。
笑顔を見せてよ の連呼のとこはなんとも痛ましく、
そのあとのコーラスがまた良い。

12-まったきケモノ
怖っ!
リンレンがメインだけあって、温かみや人間味のある曲が多かった今作にあって
このミクさんの歌唱は流石としか言いようがない。この曲だけバフォメットだ。
「うー」のコーラス怖いよ!
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