同人音楽の感想みたいなレビューみたいなものを書いてます

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[考察もどき] BORDER LINE ~閉鎖病棟監禁秘記~ / Alieson

BORDER LINE ~閉鎖病棟監禁秘記~
(2010/05)
Alieson

公式サイト


頒布から一年半以上経ちますが、新作が出るたびに
「ああ、やっぱりこの作品は境界線だったな」と認識させてくれる作品です。
コンセプト的にもサウンド的にも、ここがAliesonの分水嶺。
今作を語らずしてAliesonを語ることはできないと言っても過言ではないでしょう。

「与えられた物語の断片を繋ぎ、ラストシーンへ辿り着け!」
と考察要素が公式に与えられている作品ですが、そもそも今作において
重要なのは、何故考察要素が与えられているのか、という点にあると思います。
物語音楽というジャンルに、ストーリーをぼかして描く風潮があるのは確かですが、
今作に関しては、「受け手の介入」そのものに作者の意図があるように感じられます。

この作品を考える際には、やはりテーマたる「境界線」について見ていくのがいいでしょう。
物語の少女はおそらく「境界性人格障害」という病気に罹っている設定。
この病気は対人関係の不安定化・・・脚色して言えば「自己と他者の境界線が引けなくなる」
精神疾患であり、なるほど歌詞にも唐突に対象不明の「あなた」が出てきたり、
自傷的な描写があちこちに見られたりします。そのため、基本的にこの話では
他者は登場せず、閉鎖した少女自身の領域の中で、彼女の錯綜した自問自答が
延々と続けられる形になっています。

ただ、自分以外の存在が明示されているのが1箇所だけあって、それが
「孤独なカンヴァス」のラストシーン。
通り過ぎる足跡が一つ 初めて聴くリズムで・・・ という歌詞のところです。
この曲において、彼女はこれまでの自問自答をぶつけるかのように
創作活動に耽っており、最後のシーンにおいて他者が歩み寄る様が示唆されます。
彼女の中で曖昧だった「自己と他者の境界線」がここだけは明確に線引かれている。
創作とは、境界線を引く行為である
「孤独なカンヴァス」に描かれていることはこういうことだと思うんですよね。

そしてこの「孤独なカンヴァス」こそが実は今作におけるスタート地点だと思うのです。
公式ページに書かれている、誰もが此処で踏み止まっている―――。とは、
この「境界線が引かれた状態」から先に進めていないことを示しているんじゃないか、と。
また帯には、越えてはいけない、越えて行きたい、この境界線。とも書かれています。
ならば、この作品のゴール地点としてふさわしい言葉はひとつ。
越境です。

そう、この作品は聴き手こそが物語へ・・・境界線へ踏み込まねばならないのです。
通り過ぎる足跡が一つ 初めて聴くリズムで・・・で一度結末を迎える物語の、「その先」を
聴き手が自分で考えて、見つけなければなりません。「通り過ぎる」のではそのまま物語は
終わってしまう。少女は救われません。歩みを止め、作品にもう一歩踏み込む姿勢が
求められているのです。その行為はひょっとすると作者の思惑を手前勝手に想定し、
作品を踏みにじることになるかもしれない、越えてはいけない境界線なのかもしれない。
でも、この作品がAlieson自身のことを表現した物語であることは明白です。
幻想(理想)と現実の境界線を、彼らは越えて行こうとしています。
ただし、それは作品を受け取る側も物語に踏み込まねば、決して伝わらない決意でしょう。
通り過ぎるのではなく、踏み込ませる。
この作品に考察要素が与えられているのは、そういう狙いがあると思うのです。

聴き手が一歩踏み込めば、この物語は続きます。
「螺旋回廊」という最後の曲は、曲名そのものが「最初に戻る」ことを示唆しています。
戻った先にあるものは、表題曲「ボーダーライン」。
この曲には、唯一、「僕ら」という複数形の人称が使われています。
この作品は、基本的には少女の物語です。でもAliesonの物語でもあるし、
聴き手一人一人の物語でもある・・・「僕ら」の物語です。
作中の少女の結末は、必ずしも幸せなものとは限らない・・・というより、
私の解釈の中では、この少女は助かりません。
けれどAliesonはまだ創作を続けているし、私もAliesonの曲を聴き続けています。

最後に、「ボーダーライン」の歌詞を引用してこの記事の終わりとします。

誰もが踏みとどまった場所から
Border less Border less
飛び降りた僕らは
あなたの中に残るだろうか
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2015/03/22(日) 20:50 | | #[ 編集]
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