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セカイを呑み込む幻想郷  凋叶棕 『屠』 考察 Part.2


(2014/08)
凋叶棕

公式サイト


前回の記事(Part.1)は こちら

さて、考察Part.2です。Part.1は「墓標」と「葬迎」についての考察だったわけですが、
あれを読んだ皆さん、どう思いました?あの内容で納得行きましたか?行かないですよね。
トラックリストひとつとってみてもなんで1曲目の「墓標」がトラック14なのかとか、
2~14曲目がなんでローマ数字で表記されているのかとか、なんも説明されてないし。
それに「葬迎」の考察なんて突っ込みどころ満載です。深層をイドと読んでるだけで
少女の無意識が全ての原因だ!って決め付けてるんだもん。

そんなわけねーだろ。

「墓標」と「葬迎」そして『屠』は、『蓬莱人形』のストーリーをなぞるだけでは
全てを解釈することは絶対にできません。どこかで引っかかって、それ以上切り込めなくなる。
だから、もう一歩深いところまで切り込むためには、切り口を変えてやる必要がある。
そこで、Part.2では『蓬莱人形』って何だろう?という根本的なところから
『屠』の全体的な構造をとらえ、この作品の切り口をじっくり探していくことにします。

『屠』考察、ここからが本番です。


◆蓬莱人形 ~忘れ去られるべき物語~

そもそも、『蓬莱人形』とはどういう作品なのでしょう。
蓬莱人形はコミックマーケット62・・・2002年夏にCD-Rで頒布されたものです。
上海アリス幻樂団がまだ無名だったころなので、頒布枚数は100枚にも満たないそうです。
原版を所有している人はほとんどいないでしょう。
そして次のC63でプレス版が頒布されました。後に同人ショップでの流通も始まり、
プレス版のほうが一般的に出回ることになります。
しかし、C62版とC63版には決定的な違いが有りました。Part.1でも書いたとおり、
ストーリーが大きく異なるのです。共通点を匂わせる部分もありますが、基本的には別物。
それはつまり、C62版のストーリーはC63版のストーリーに上書きされたということ。
極端に言えば、作者の手によって「無かったこと」にされた。黒歴史です。

そう、今回の題材となった『蓬莱人形』は、闇に葬られるべき物語でした。
忘れ去られるべき物語でした。
実際、C62版蓬莱人形というものを今まで知らなかった人も多いのではないでしょうか。
恥ずかしながら私も今回初めて知りました。
そういう意味では、この話は確かに忘れられていたんです。
だから、物語がそれ以上広がることもない。
8人の男女が迷い込み、惨劇があって、名もなき少女がひとり、幻想郷を去る。
物語は間違いなくこれで完結していたんです。続編などは一切書かれることはなく、
少女の正体も、行く末も分からぬまま、これ単体で静かに完結していたんです。
『蓬莱人形』は、完結した。

しかし。
『蓬莱人形』が頒布されたコミックマーケット62。
上海アリス幻樂団は、もうひとつ、別の作品を頒布しました。
それは、『東方紅魔郷』。
Windows版東方Projectの、記念すべき最初の作品。
今をときめく幻想少女たちの、門出の作品。
完結した物語の傍らで、産声をあげた物語。
始 ま っ て し ま っ た 物 語 。


◆トラックⅠ-ⅩⅢ ~ゆりかごから墓場まで~

ここまで書けば、私が何を言いたいかもうお分かりでしょう。
トラックⅠの「始まってしまった物語」、何が「始まってしまった」のか。
それは東方Project、幻想少女たちの物語です。
ここで、ケース裏のトラックリストを見てみましょう。
「墓標」と「葬迎」はアラビア数字、それ以外はローマ数字で書かれています。
さらにトラック14,15の「墓標」と「葬迎」だけが列から外れていますね。
これらはトラック14、15とトラックⅠ~ⅩⅢは全く別個の物語ということを意味します。
かたや『蓬莱人形』の物語。かたや幻想少女たちの物語。両者は哀しいほどに無関係。
誰もいなくなって忘れ去られて完結した『蓬莱人形』だけを取り残して、
幻想少女たちの物語は進行していく。肥大していく。
それがトラックⅠ~ⅩⅢです。
そして、これらは単に幻想少女たちの物語というだけではありません。

トラックⅠの原曲「A Sacred Lot」は『東方霊異伝』のタイトル画面の曲。
これは一番最初の曲。
トラックⅩⅢの原曲「永遠の三日天下」は『弾幕アマノジャク』の最終盤ステージの曲。
これは一番最後の曲。
はじめからおわりまで。アルファからオメガまで。ゆりかごから墓場まで。
そう、これは「すべて」だ。
トラックⅠ~ⅩⅢは、幻想少女たちの物語「すべて」を指しています。
それは原作だけじゃない。無数に存在する二次創作たちも全部全部全部含めて、
幻想郷に生み出された「すべて」の物語が、ここに内包されている。
この場合、楽曲の内容は関係ありません。
『屠』の、構造そのものがそれを物語っているんです。

そして、肥大はこれからも続いていく。
原作がこれからも続くのと同様に、二次創作も続いていく。
もしも原作が終わっても、きっと二次創作は続いていく。
だから、幻想郷の肥大は終わらない。

それから。
肥大化する物語の果て。
「凋叶棕」と名乗る者が、闇に葬られたはずの物語を蘇らせた。
それが14番目の物語「墓標」。
そして、あるはずのない15番目の物語「葬迎」。

幻想郷が、セカイを呑み込み始める。


(Part.3に続く)
コメント
いつも考察拝見させていただいています!今回の屠も凄いですよね 続きも楽しみにしています!あと騙の考察はもうされないのでしょうか?
2014/08/19(火) 02:44 | URL | #-[ 編集]
ありがとうございます。屠はスゴイのでひさしぶりに張り切って書いてます。
騙の考察は・・・そう遠くないうちにお見せできると思います。必ずやります。
お楽しみに!
2014/08/19(火) 18:58 | URL | borozo #-[ 編集]
た、確かに考えてみると、CD番蓬莱人形の曲数は13曲
14,15ってなりますね
2014/08/22(金) 00:43 | URL | #-[ 編集]
No title
自分じゃ考えもつかない着眼点、恐れ入ります。
考察は自分でするだけでなく、人のを見て比べてみても面白いですよね!
話がか合わりますが、騙のほうの考察も見させていただいたのですが、そこで気になる点が。
「口を噤むもう一人」っていうのは真実の詩のほうの霊夢なんじゃないかなと。だから、嘘のすゝめ→真実の詩じゃないかなとか考えてました。
「嘘をつかれた二人」っていうのも嘘のすゝめのほうがあってるんじゃないかなとか。
長々すみません。次も楽しみにしてます!
2014/08/28(木) 00:12 | URL | #-[ 編集]
Re: No title
ありがとうございます。考察ってのは作品をより楽しむための遊びですからね。ひとりで遊ぶより大勢で遊んだほうが楽しいものです。

あと、あの騙の記事ですが・・・あれ実は頒布前に内容予想で書いたやつなんですよね。
考察でもなんでもないデタラメな内容なので気にしないでください。紛らわしくてすんません。
騙の考察はそのうちちゃんと書くのでそのときに色々突っ込んでやってください!
2014/08/28(木) 20:44 | URL | borozo #-[ 編集]
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