同人音楽の感想みたいなレビューみたいなものを書いてます

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[同人音楽感想] Fantasia of the Shades,by the Shades,for the Shades /回路-kairo-

Fantasia of the Shades,by the Shades,for the Shades
(2010/08)
回路-kairo-

公式サイト

トラックリスト
01-ここにいること
02--世界に関する考察-
03-違うということ
04-守りたいこと
05--暗闇に関する考察-
06-叶えたいこと
07-想うということ
08--光に関する考察-
09-わたしであるということ
10-夢見ること

セカイ系ロックバンド回路-kairo-の東方アレンジアルバム。
女性ボーカルのオルタナティブ / ポストロックですかね。
空間的な広がりを感じさせる編曲とサウンドプロダクションが特徴的で、
セカイ系と標榜するのも頷ける、統一感のある独自の音世界が
アルバム全体を覆っています。バンドサウンドは割と普通の構成ですが
ピアノやアコギなどのアコースティックな音色や、
エレクトロニカ的な冷たいシンセ音などの使い方がとても上手い。

そして、そうした独特の空気を持った音世界に響き渡る
556tさんの歌唱がこれまた独特で、味わい深いんですよ。
MiddleIslandの紫さんを思わせるパワフルなハスキーボイスを武器に、
パンクロック的な吐き捨てるような歌い方から、ささやくような
繊細な歌い方、果ては台詞までこなす、非常に器用かつ
エモーショナルな歌唱を聴かせてくれます。
彼女の奔放な歌唱が、広がりのある音空間に存分に反響している、この感じ。
回路-kairo-の音楽って、無駄や過不足がないんですよね。
ひとつの閉じた世界観が完結していて、これ以上弄りようがない。
だからこその「セカイ系ロックバンド」なんでしょう。
同人音楽ではなかなか味わえない、完成された美しさを感じる音楽です。

また、本作がコンセプトアルバムであることも私のツボを突く要因のひとつ。
「日陰者の、日陰者による、しかし陽光に憧れる者のための音楽」ってやつですね。
地下室に幽閉されつつも青空で自由に飛ぶことを憧れるフランドールを軸に、
紅魔郷キャラのそれぞれの心情をつづった曲で構成されているわけですが、
この中で、個人的に驚いたのがチルノの描写です。

東方紅魔郷という作品だけでみた場合、チルノというキャラは
すごく浮いてるキャラクターなんですよね。
「紅」を基調にした世界観なのに、彼女のイメージカラーは「青」だし。
残酷な側面を持ったキャラばかりの中でひとり底抜けのバカキャラだし。
だから、紅魔郷のコンセプトアルバムってチルノ(おてんば恋娘)の扱いが
わりと鬼門になってる印象で、スルーしちゃってる作品も多いんですよ。

でも、本作におけるチルノは、自分が周りとは違う、浮いた存在であることを
自覚してるんですよ。メタ的な視点を持ったキャラとして描かれてるんです。
そんな彼女が、フランドールと、ひいては東方紅魔郷の世界観と
「違うということ」を認識し、達観する3曲目は、ほんとうに名アレンジだと思います。

こうした「チルノの孤独」はジャケット絵でも表現されていて、
この演出がまた素晴らしいんですよ。
表ジャケットには紅魔館のメンバーが描かれているんですが、チルノはいない。
で、どこにいるかと思えば、CDをはずした裏側のジャケットにぽつんと、
ひとりぼっちで後ろを向いてたたずんでいるですよ。
本作のコンセプトを理解したうえで、この絵を見るとほんと、ウルっとくる。
フランドールは孤独だけど、彼女を慕う紅魔館メンバーがいるんです。
でも、東方紅魔郷の世界において、チルノはほんとうにひとりぼっちなんです。
この作品における「陽光に憧れる日陰者」とは、表向きにはフランドールのこと
なんでしょうが、本来「陽光」の側にいるはずのチルノもまた、日陰者であると。
そういう捉え方もできるんですよね。

ジャケ絵には、⑨の文字が大きく描かれています。
⑨とは言わずもがな、<チルノ=バカ>の代名詞です。
墓標のようにも見える石柱に描かれた⑨の文字には、
果たしてどんな意味が込められているのでしょうか。
いろいろな解釈ができると思います。
「違うということ」の中盤の、おてんば恋娘のピアノメロディが
ゆったりと流れるバックで、スクリームボイスが慟哭しているパート。
ここで叫んでいるのは誰なんでしょうか。
これも、いろいろな解釈ができると思います。だからこそ、この作品は面白いんです。

まあ、そんなわけで、単純な音楽作品としても、東方二次創作としても
1stアルバムとしては思えない高い完成度を誇っており、
一風変わったロックサウンドを求める人には間違いなくおすすめできます。
無料配布音源ではオリジナル曲も発表していることもあり、
オリジナル分野でも期待の高まる回路-kairo-。今後の活動も要注目です!

◆曲の感想
01-ここにいること
タイトル曲のアレンジで、アルバムのイントロ扱いの曲だと思うんですが、
この時点で「ん?なんか不思議な雰囲気だな」ってのが分かるんですよね。
「ラララ…」だけのボーカルとふんわりとしたバンドサウンドだけの
シンプルな構成なのに、すごく惹きつけられるんですよ。
この曲に限らずなんかここの音楽は、独特の魔力があるんです。

03-違うということ
本文でも書きましたが、この曲はほんとうにスゴイ!
ミドルテンポの比較的ゆったりしたバンドサウンドに響き渡る、
556tさんの力感がありつつも哀愁を帯びた歌唱が見事です。
息遣いの生々しさに聴いてるこっちも息が詰まりそうになる緊迫感。
それが最高潮に達するスクリームのパートがもうね・・・泣ける。
スクリームボイスが出てくるのが作中でココだけってのがまたいい。

04-守りたいこと
疾走感がある上海紅茶館のアレンジ。
フランドールを慕う美鈴の心情をうたった曲ですが…変わった組み合わせですね。
この曲も556tさんの歌唱が素晴らしいですねー。息遣いの生々しさがほんといい。
終盤のつぶやくような台詞パートもまた情感がこもっててお見事です。

09-わたしであるということ
亡き王女の為のセプテットのアレンジ。ドラムが目立っておりなんか通天さんっぽい。
歌詞の方向性がほかの曲とはちょっと違っているのが面白いところです。
フランドールが「孤独の日陰者」ならレミリアは「孤高の日陰者」なんだなあ、と。

10-夢見ること
UNオーエンのアレンジ。
透き通ったピアノの音色と、ふんわりと包むようなバンドサウンド、
それにのる歌唱も透明感があって、どこか優しさを感じるアレンジですね。
この曲は、わりと邪悪でゴスゴスした黒っぽい感じのアレンジが多いので
白っぽいイメージを感じ取れるこういうアレンジは何気にレアかと。
純粋に、ただ自由と青空を求めるフランドールの心情がよく伝わってきます。
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール

borozo

Author:borozo

最近の記事
カテゴリー

openclose

ブログ内検索
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。